
OVERVIEW事業概要
全長400m、
日本一長い
歩行者専用吊橋。
富士山や駿河湾・
伊豆の山並みなど、
橋の上から一望できる
絶景をお楽しみください。
事業概要
事業コンセプト

三島スカイウォークが位置する三島市笹原新田からは絶景が一望できます。しかし、今まで整備が進められていなかったため、十分に景色を楽しめる場所がありませんでした。多くの方にこの景色を知っていただきたい、景色をきっかけに地域の活性化に貢献したい、という想いから吊橋の計画が始まっていきました。また、平成26年の伊豆縦貫自動車道の開通は、アクセスが良くなる反面、三島が単なる通過点となってしまうことも危惧されました。「社業を通じて地域社会に貢献する」という企業理念を掲げる弊社として、地元三島に人が集まるものをつくることで、地域への恩返しをしたいと考え、今回の事業計画を進めました。事業に関する各種工事や取扱う商品はできる限り地元の企業に協力していただいています。
愛称「三島スカイウォーク」
について

吊橋の正式名称は「箱根西麓・三島大吊橋」。「三島」を発信していくと同時に、箱根の西側である「箱根西麓」を多くの方に知っていただきたいという意味を込めて名付けられました。しかし、正式名称では長くて親しみにくいとの声もあり、誰もが呼びやすく親しみやすい愛称を公募することとなりました。多数の応募の中から、地名である「三島」と、「まるで空を歩いているような感覚を味わえる」という意味が込められた「スカイウォーク」、この2つのキーワードが含まれている「三島スカイウォーク」が採用されました。
スカイガーデン


平成25年、静岡県の「内陸のフロンティアを拓く取組み」に賛同した三島市により、吊橋の開発区域に隣接する農地が総合特区としてエリア付けされ、静岡県より許可を受けました。そのエリアに建設されたのが「スカイガーデン」です。周辺地域の発展につながるのであればという想いと、地元からの熱い後押しがあり、弊社が開発を手掛けることとなりました。三島市により「農業・観光関連施設集積事業」と名付けられたこのエリアを計画するにあたり、農業と観光をどのように結びつけるかが課題でしたが、検討を重ね、花の栽培(=農業)、観賞・販売(=観光)に辿り着きました。建物はガラス張りの温室とし、天井一面に咲き誇る花を観賞できる空間にしました。反射ガラスにうつる風景が周辺の畑と調和できるよう外観にも配慮しています。
環境への取り組み



三島スカイウォーク周辺の森林は、開発前は手付かずの状態でした。まず始めたのは、希少生物の生態観察と保護です。開発区域で見つかった希少植物を移植し経過観察を行っています。次に、古くなった樹木を伐採しました。伐採後はサクラやモミジなど箱根山に自生している7種類の樹木を4000本新たに植樹しました。山崩れを防ぐために切株をあえて残しています。また、森林に触れ自然に興味を持ってもらうきっかけとして、散策路「Kicoroの森」が誕生しました。間伐材を利用した「flower drop」は、地元の障がい者の方々の協力で作られています。
三島スカイウォークが
できるまでの話
吊橋構造
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アンカレイジ
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アンカレイジは、吊橋のメインケーブルの端を固定し、ケーブルの引張力に抵抗するための構造物です。アンカレイジの安定性のために、その下には堅固な岩盤層まで杭基礎を設けています。ケーブルがアンカレイジを引っ張る力は、1基当り最大約800tにも達します。アンカレイジはその力に対して自重で抵抗し、杭はそのアンカレイジを支えています。北側アンカレイジは直径1.8m、長さ20.5mの杭12本を安山岩層に、南側アンカレイジは直径2.5m、長さ15.5~16.5mの杭6本を火山砕屑岩層に根入れして、吊橋全体の安定性を確保しています。
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メインケーブル
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三島スカイウォークでは、メインケーブルに外径47.5mmのスパイラルロープを使用しています。従来の人道吊橋ではストランドロープを用いることが多いのですが、この橋ではスパイラルロープを使用することで、より細く見せようとしています。また、橋面からケーブルまでの高さを通常より若干高くすることで、吊橋の中央に立ったときに目のすぐ前にケーブルが来て視界が遮られないような工夫をしています。この橋では、外径47.5mmのケーブルを7本束ねたものを2組使用しており、橋全体で約9500m、約110tものケーブルが使用されています。ケーブル1本あたりの引張強さは約195tですが、安全を見て設計上は約65tの引張力で設計しています。
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主塔
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吊橋のケーブルを両側で持ち上げるための塔を主塔といいます。三島スカイウォークではケーブルから伝わる力は、一つの主塔で約660tにも達します。その力を支えられるように、直径約1.4m、厚み23mmの円形鋼管を曲げて主塔を作っています。一つの主塔で約80tもの鉄を使っています。また、通常は表面に突起物があることが多いですが、三島スカイウォークでは表面に突起物を設けないデザインにしています。主塔の内部には点検のための梯子が一番上まで設置され、主塔の頂部に上ることが出来るようになっています。主塔の基部には、橋脚に力を伝えるための支承が設置されており、主塔の基部に大きな曲げの力が発生しないように支承はピン構造にしています。
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サドル
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吊橋の主塔の上にはサドル(鞍)があります。ケーブルは細い鋼線を束ねたものですので、主塔上では滑らかに曲げる必要があります。その滑らかに曲げる構造部品をサドル(鞍)といいます。メインケーブルに作用する力がサドルを介して主塔に伝達されます。
- 吊橋の安全性
三島スカイウォークは、
安全性や歩行性はもちろんですが、
デザインも重視しています。 -
- 主塔やメインケーブルは1㎡当たり200kgの人の重さが満載しても安全なように設計しています。
- 歩廊面からの景色が見易いように、透過性の高いメッシュ構造のデザイン高欄を採用しています。通常の人道橋よりもメインケーブルを少し高くし、吊材(垂直方向のケーブル)の間隔も広くしています。
- 大きな人道吊橋では風による振動に対する耐風安定性の確保が非常に重要となります。三島スカイウォークでは、歩廊中央のオープングレーチングや歩廊の端の隙間(コンクリート版の20mmの切り欠き)によって風が通り抜け易いようにしています。また、歩廊の両側には重いコンクリート版を配置して揺れを調整する工夫もしています。
- 歩廊面でどの程度の風が吹くのかを確かめるために、工事開始より前に現地で鉄塔を建てて実際の風を観測したり、地形をモデル化したコンピューターシミュレーションを行っています。
- 想定した強風でも橋が安全なことを確かめるために、実際の橋の模型(縮尺1/9)を使用し風洞試験を行い、安全性を確認しています。65m/sの強風でも耐えられるような設計となっています。
- 地震に対しては、兵庫県南部地震や東日本大震災クラスの地震に対しても壊れないように設計しています。そのために、南側主塔と主桁の間に粘性ダンパー(巨大地震の際にエネルギーを吸収する制振装置)を設置しています。